ETCカード有料化の流れ-PR-
ETCの利用が急速に広がりを見せる中、ETC利用者を囲い込むべく、各社ともETCカードの発行を積極的に行ってきましたが、変化を見せはじめたカード会社もちらほら見られるようになりました。
と言うのも、従来大半のカード会社ではETCカードに関しては、新規発行手数料や年会費無料が当たり前であったものが、発行手数料や年会費を取り始めるカード会社が現れてきたのです。
当サイト管理人自身が利用しているETCカードについては幸い有料化されていませんが、横並び大好きな日本企業のことですから、有料化した企業に追随する動きが出てこないとも限りません。今後とも動向を見守っていきたいと思います。
実際に有料化に踏み切ったのは、有名どころで言えば楽天カードやNTTグループカード。いずれも本体カードは年会費永年無料ですが、ETCカードに関しては年会費550円(税込)がかかります。また、ポケットカード発行のETCカードに関しては、発行手数料が税込1,100円掛かります(更新時も)。
発行手数料・年会費無料のETCカードが多数ある以上、わざわざ有料のものを利用する必要はないと思うのが、大多数の利用者サイドの合理的な考えと言えるでしょう。それを承知の上での有料化ということですから、『できれば儲けの少ない、あるいは全体的に稼働率の低いETCカードは作ってほしくない。作るんだったら多少の費用は頂きますよ』というスタンスを明確に示したということです。有料化しなければならない事情が少なからずあるのだと思います。
では、何故ETCカードの有料化の動きが出てきたのでしょう。理由は個々の企業によって異なるのは当然ですが、大きな流れの中でどのようなことが考えられるか、いくつか当サイトなりの見解を示したいと思います。
一つは貸金業法の施行。2006年12月に可決され、段階的に施行に移されながら、2010年6月に完全施行となりました。この影響は小さくないと思われます。これによりキャッシングの総量規制が導入され、また貸出金利の上限が大幅に引き下げられましたが、キャッシングと言えばカード会社の利益の多くを稼ぐ利益の源泉とも言える分野。これに大きな規制が加えられたことで、カード会社の収益減が大きく毀損してしまったと考えられます。
稼ぎ頭に大きなダメージを負ってしまったため、収益構造の大幅な見直しを迫られ、儲けの少ないETCカードのリストラクチュアリングが実行に移されたと考えられます。また、貸金業法の施行と同じような時期に行われたのがいわゆる千円高速と民主党政権初期に行われた高速道路の一部無料化です。
千円高速は賛否両論あったようですが、多くのユーザーにとってはETC導入の大きなきっかけとなる出来事だったでしょうし、大きなメリットを享受することができたはずです。
しかし、一方のカード会社にしてみたらどうでしょう。千円高速では土日祝日に限定されていたとは言え、一度の利用でいくら走っても千円しか払わなくて良いのですから、カード会社にしてみれば実入りがわずかしかありません。高速道路の一部無料化について言えば、無料ですから言わずもがなです。
それでもメインに使用するETCカードとして利用者に選ばれたのならまだましですが、サブカードとされてしまったETCカードは悲惨なものです。管理コストばかり掛かって収益にまるで貢献しないのですから、カード会社にしてみればマイナスでしかありません。
それでもキャッシングで稼いでいた時期であればなんとかなったのかもしれませんが、貸金業法の施行によりそうもいかなくなってきたため、ETCカードの有料化に動き出した企業が現れてきたと考えることができます。
なお、東日本大震災を機に高速道路の無料化は事実上頓挫することになりました。これにより、高速道路の料金は千円高速前の従来の形に戻ることになりましたので、高速道路の低料金化によるETC事業の収益の圧迫という要因は取り除かれましたので、ETCカード有料化の流れはひと段落するかもしれません。